双方を熟知した協栄だからこそ叶った、想いのこもったM&A

双方を熟知した協栄だからこそ叶った、想いのこもったM&A

燕市八王寺に本社を構える燕器工株式会社は、特にチタン製品に強みを持つ受託開発・製造(OEM)企業。燕のものづくりで言うところの“まとめ屋”として、多くの製品の開発を支えています。

現社長の相場大史さんは、入社12年目。7年目からは専務として経営に携わり、約3年前に三代目として社長に就任しました。

リーマンショック直後、先代である父から「会社に入らないか」と声を掛けられたことをきっかけに入社。当時、大手飲食グループで経営管理を担っていた相場さんは、会社の数字を見て「まだまだやれることがある」と感じたといいます。

経営課題の解消に取り組むなかで見えてきたのは、「自社で製造できなければ、小回りも利かず、粗利も上がらない」という根本的な課題。これを解決するために、相場さんが選んだ手段が“M&A”でした。

そして、後継者不在で事業承継が課題となっていた燕市内の株式会社荒木製作所を譲受。現在は相場さんが同社の代表も務めています。

雑談から始まったM&Aの実現

写真:相場大史社長

M&Aのきっかけは、コロナ禍のある日。協栄担当者との雑談で「どこかプレス工場、ありませんか?」と話したことが始まりでした。

この一言を受けて協栄が動き、候補に挙がったのが荒木製作所。実は、同社はもともと燕器工の取引先であり、そのつながりも協栄が取り持ったものでした。

すでに信頼関係のある企業だったこともあり、M&Aで最も重要な「人柄」を知っていたのも大きな安心材料。不良率の低さや誠実な仕事ぶりも後押しとなり、スムーズに話が進んだといいます。

協栄は、双方の想いをつなぐ調整役に

燕器工と荒木製作所、両社の橋渡し役を担ったのが協栄です。両社とも協栄の取引先であることから、譲渡側・譲受側双方の意見を丁寧に聞き取り、希望をすり合わせながら調整役を務めました。

特に人材面では、協栄との綿密な打ち合わせを重ねたと相場社長は振り返ります。

「困ったことがないか、常に寄り添ってくれました。専門業者のように動いてくれたばかりか、M&Aのメリットだけでなく、デメリットについても率直に話し合えたのが良かったですね」

荒木製作所のM&Aが、事業を支える力に

写真:株式会社荒木製作所外観

アウトドアブームで一時的に需要が急増した燕・三条の製造業界。しかしブームが落ち着いた現在、売上減に悩む企業も少なくありません。

相場社長もこう語ります。

「当社もアウトドア製品を手がけていたため、コロナ禍は非常に多忙でした。今ブームが落ち着いた中で、荒木製作所がなければ、どう売上を上げようかと困っていたと思います。」

後継者不在による廃業は、燕器工の協力企業でもすでに5〜6社にのぼるとのこと。これは個社の問題にとどまらず、燕というものづくりの町全体にかかわる、人材不足や、燕のものづくりの構造的な課題でもあります。

M&Aで生まれる新しい風と価値

現在、荒木製作所から5名の仲間が加わり、新たな目標に向けたグループ全体での組織づくりが進んでいます。

荒木製作所の前社長は部長として引き続き現場を支え、社員同士の交流も活発化。燕器工の社員が荒木製作所に出向き、プレス技術を習得するなど、次の時代を見据えた取り組みが進行中です。

DX化にも取り組み、これまで口頭が中心だった社内コミュニケーションも、Microsoft Teamsを導入しチャットベースに切り替えるなど、業務効率化が進んでいます。

「M&Aで描いた数字を実現するのは簡単ではありません。でも、M&Aがあったからこそ助かった部分も多く、これからの可能性も大きく感じています。雑談から始まった話をここまでカタチにしてくれた協栄さんには、心から感謝しています」

地域に根ざした協栄の強みを、これからも

私たち協栄信用組合は、地域に深く根差した存在として、今後もM&Aを含む事業承継のサポートを通じて、企業の想いをつなぎ、地域経済の未来を支えていきます。

ご相談はお近くの窓口・担当者までお気軽にどうぞ。

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