外部人材の活用が、経営陣の考えを変えるきっかけに

外部人材の活用が、経営陣の考えを変えるきっかけに

株式会社新武は、創業53年。燕市杉名にある、自動車部品や建築部材を主に手がけるプレス金型製造の会社です。

従業員は現在14名。創業当初は洋食器用の金型が中心でしたが、時代の変化に応じて製品分野をシフトし、技術を磨きながらさまざまな業界のニーズに対応してきました。

そんな新武さんでも、働き方改革の流れの中で多くの課題が浮き彫りに。課題解決の手段として活用したのが、「地域の人事部」という制度でした。

「地域の人事部」とは?

経済産業省 経済産業政策局が推進する「地域の人事部」は、地域の企業群が自治体・金融機関・教育機関などと連携しながら、将来の経営戦略実現に向けて必要な人材(副業・兼業人材含む)を確保し、地域内でのキャリアステップを構築していく総合的な取り組みです。

※地域の人事部についての詳細はページ下部をご参照ください。

今回は、どのような課題に対し、どのように「地域の人事部」を活用したのか――株式会社新武 代表取締役・齋藤智則さんにお話を伺いました。

外部人材の支援で、業務効率化・人事制度改革・新商品開発を実現

齋藤智則 社長:

現・常務取締役の啓史は、私の弟です。もともとはSEとして活躍していましたが、新武に入社したことで、社内の課題がより明確になりました。そこで「地域の人事部」を通じて出会った外部人材を活用し、これまで手をつけられなかった3つの課題の解決に乗り出しました。

課題①:業務の効率化と見える化

まず取り組んだのは、情報のデジタル化。アナログだった社内情報をデジタル化し、「見える化」することで、経営者や管理職が瞬時に状況判断できる体制を整えました。

60代以上の社員にとってDX化はややハードルが高い面もありましたが、まずは経営・管理層から導入したことで、業務全体の効率化が大きく進みました。

課題②:人事評価制度の構築

次に取り組んだのが、人事評価制度の整備です。

働き方改革が進む中、優秀な人材に選ばれる会社であるためには、人事制度の整備は不可欠。今回サポートしてくれた外部人材は、大手企業で人事を担当されていた経験者です。

スキルマップの素案を作成し、私の考えや従業員の声も反映させながら、現在も制度の確立に向けて取り組んでいます。

このプロセスで外部人材から投げかけられる多くの問いが、私自身にとっても大きな気づきとなり、企業理念の見直しなども含めた再考の機会となりました。経営者としての価値観を更新するきっかけにもなっています。

課題③:新商品の開発

そして3つ目は、新たなチャレンジ――オリジナル商品の開発です。

当社は完成品ではなく自動車等の部品を製造する型屋ですが、以前から「自社ブランド製品をつくりたい」という想いがありました。そんな中、商品開発に興味を持ったデザイナーから提案を受け、プロジェクトがスタート。

複数のデザイナーに当社の技術や資源を知ってもらい、多様なアイデアを提案してもらいました。現在はデザインラフを作成し、試作段階へと進んでいます。

この取り組みは、「自分たちで発信し、販売する」ことを学ぶ貴重な機会となっており、秋の燕三条での展示会にて新商品を発表できるようにと準備を進めています。

こうした取り組みは、社外向けだけでなく社内にも大きな効果をもたらすと感じています。

当社の社員たちは、ものづくりが本当に好きな人たちです。彼らの夢ややる気にもつながるよう、社員を巻き込みながら、型屋としての強みを活かした商品開発に挑んでいきたいと考えています。

外部人材は、積極的に活用すべき存在

「地域の人事部」を通じた外部人材との出会いは、当社に多くの気づきと希望を与えてくれました。

外部人材とは、いわば“複業人材”であり、それぞれの分野で活躍するプロフェッショナルが、専門知識や経験を活かして伴走してくれます。

今は、働き方も、会社の在り方も、大きく変化している時代です。こうした変革の中で企業も変わらなければ、人は集まりません。

だからこそ、今こそ外部人材を積極的に活用し、課題解決へとつなげることが必要だと感じています。そしてこれは、皆さんにもぜひおすすめしたい取り組みです。

私自身、経営者としての考え方をアップデートする大きなきっかけになりました。

地域の人事部を活用して、御社の課題解決に!

写真:地域の人事部@燕 ウェブサイト

燕市内の支援機関で構成する「地域の人事部協議会(注1)」が、地域企業と外部人材のマッチング等を行いながら、人材不足の解消と地域定着を目指す事業です。昨年度実施した、関東経済産業局の実証事業のノウハウを活かしながら自走化していけるように構築、取り組みを続けているものです。

(注1)地域の人事部協議会の構成事業者

第四北越銀行/第四北越銀行キャリアブリッジ/協栄信用組合/三条信用金庫/株式会社つばめいと/燕商工会議所/燕市

画像:関東経済産業局ウェブサイトに掲載された燕市の事例紹介より PDF版はこちらから

関東経済産業局の実証事業「地域の人事部」のモデル地域として燕市が選定され、令和4年度から、市内企業の経営課題解決のため、首都圏等の兼業副業人材とのマッチング支援に取り組んできました。これまで市内企業18社で合計26人のマッチングが成立し、本記事の新武さんの事例をはじめ、多くの成果が生まれています。

中小零細企業の多い燕市内の企業にとって、人事部門を自前で抱えるのはなかなか難しいこと。しかし、優秀な人材を獲得し、企業を成長させていくためには「人事部門」は欠かせないものです。

それを、地域企業と金融機関が連携し人材マッチングをはじめとした様々な取り組みを一体となって行うことで、地域のチカラの底上げにつなげる…そんな、企業の本質的な課題の解決を、「地域の人事部」を活用し行っています。

実証事業が終り、令和7年度からは、燕市独自に実施する「地域の人事部@燕」を開始し、地域企業と専門スキルを持った人材のマッチングを進めています。

地域の人事部@燕の活用申込は、協栄信用組合を通じて行えます。

私たち協栄信用組合は、燕市の「地域の人事部」の活用をサポートする金融機関という立場で、積極的にこの制度を活用いただけるよう、企業様にお声がけさせていただいております。

また、実際に地域の人事部を活用された企業さんには、複数の外部人材との面談に立ち会ったり、外部人材選定のご支援等も行っています。

ご興味のある方は、ぜひ担当者までご相談ください。

地域の人事部@燕 ウェブサイト

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