実績ストーリー

ちゃんと休める農業を

農業法人アグリシップ

取材日:2019年12月18日

「いま、農業の担い手不足は深刻です。これは紛れもない事実。誰もが働きやすくてしっかりと収益をあげられる、新しい形の農業を探っていかないと、未来はないと思う」。農業法人「アグリシップ」の代表・佐藤広幸さんは現在の農業をこのように捉えています。佐藤さんが法人をたちあげたのは3年前のこと。それまでは兼業農家として米や野菜を育ててきました。「うちにも子供はいるけれど、すでに独立している。家族に農業の後継者はいない。60歳までは自分と妻でできるとしても、その先をどうするか。それが課題だった」。

そんな折、奇妙な縁が生まれます。佐藤さんは稲のスペシャリストとして、総合高校で稲の講習を行ってきました。あるとき、一人の生徒から「うちは農家ではないけれど、自分は農業がやりたいんです」と声を掛けられたのです。「じゃあ、うちでやってみるか?」。佐藤さんはこの時点で彼・小越智央(ともひろ)君を社員に迎えての、法人化を頭に描いたといいます。

佐藤さんは農業法人「アグリシップ」を設立。一方、小越君は新潟県農業大学校(県立専修学校・2年制)に進み、「予定通り」アグリシップに入社。佐藤さんに米作りを学びながら、自らも勉強してきた梨栽培を手がけています。

「農業は力仕事で、土曜も日曜もない。これが旧来のイメージ。けれど、これでは若者はやりたがらない。俺もそんな農業はしたくない。できるだけ効率よく仕事を片付けて、さっさと遊びにいきたい。そのためにはどうするか。そればっかりを考えてきた」(佐藤社長)。大型のトラクターやそれに装備する各種アタッチメント、GPS、さらにはドローン。次々と最新鋭のマシンを揃えます。それをバックアップするのが、小中川支店の小柳支店長と若手の石田 光さんです。

効率化とカッコ良さを求めて

「正直なところを申し上げると、私どもも農業に特化しているわけではありませんので、社長の説明を理解するのが大変。まず機械の名前からしてさっぱりわからない。でも一生懸命勉強して、なんとか理解できるよう努めています。なにせ佐藤社長からは、これまでの農家さんとのお付き合いでは出てこなかったような単語がバンバン出てくるので(笑)」と担当の石田さん。佐藤社長もそれを見越し、メーカーからカタログを取り寄せ、必要なマシンに付箋を貼り、石田さんに渡します。石田さんは自分なりに調べ、咀嚼(そしゃく)し、小柳支店長に報告します。

「佐藤社長からは次々と新しいアイディアが出てきます。ともすれば、今日言っていたことが明日になったら全然違うことになったりもしますが(笑)、それもずっと考え続けているからこそだと思うんです。農業法人でこれだけのことをやってらっしゃるところは他にお付き合いがありません。アグリシップさんとの関係は、ずっと大切にしていきたいですね」(小柳支店長)。

ドローンを使っての害虫防除に、大型コンバインの導入などの効率化で、アグリシップでは土日休みの週休2日を実現しました。暑い夏場などは疲労を考慮し、早朝のうちから作業を始め、昼には終業することもしばしば。「むしろ普通の工場などより休みが多いかもしれない」とは佐藤社長。働き方を文字通り「改革」していく勢いです。

「農業には夢とかカッコ良さも必要」と導入したトラクターは、あのフェラーリのデザインも手がけた工業デザイナー・奥山清行氏が手がけた超スタイリッシュモデル。「座り心地もいいし、道具としても使いやすい。さすが一流の工業デザイナーは違う」。佐藤社長も満足そう。

農業の「働き方改革」で次代に繋げる

2019年にはドローンを使った直播栽培にも挑戦しました。「直播」とは水田に苗を植える従来の方法に対し、水田に直接種をまいていく栽培方法のこと。「苗の管理もいらなくなるし、GWに一家全員で田植えなんていうこともなくなる。もう後戻りしたくないので、苗を育てるハウスはとり壊した」(佐藤社長)。

効率化へのトライは常に続けているアグリシップ。効率化はすなわち収益のアップに結びつきますが、一方で農業である以上、自然の影響は無視できません。

「法人を作ってから毎年台風にやられている。ル・レクチェの栽培もしているんだけど、今年は3分の2ぐらいが落とされた。経費が全部入って、あとは取り入れるだけというタイミングだから堪らないよね。協栄さんは心配して翌朝一番に来てくれた。嬉しかったな」(佐藤社長)。

農業法人の目標は、スムースな形での事業の継承。

「大きい機械の減価償却は7年。減価償却が終われば、経営的にはかなり楽になる。そこから先は小越君の時代。小越くんが先頭になって、今度は小越くんの部下を作ってやりたい。ただ、部下を作ってやると言う事はもう1人分の年収が必要になるということ。それをどう確保するかが農業の難しいところ。今のままの規模ではいけないということは確か」(佐藤社長)。

次の世代が農業を仕事として続けられるように。佐藤社長の行なっているのは文字通りの「農業の働き方改革」。まだ佐藤社長と奥様、小越君の3人だけという小さな法人ですが、これからがとても楽しみです。その「改革」実現のために小柳支店長も「どこまでもやると決めています」と協力を約束します。協栄信用組合とアグリシップのタッグで、地域の農業を変えていく勢いです。

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