事業承継

事業承継支援協議会の立ち上げ

平成28年8月26日、新潟財務事務所の後押しを受け、協栄信用組合と三條信用組合、新潟大栄信用組合は事業承継に係る業務連携協定を締結し、「燕三条地区事業承継支援ネットワークを発足しました。

また、実動部隊として「しんくみ事業承継支援協議会(通称:ツグ・サポ)」の立ち上げをいたしましたので、お知らせいたします。

立ち上げの背景

近年、ものづくりが盛んな燕三条地区において、経営者の高齢化や後継者不足を背景に企業の休・廃業が増加しております。この事業承継が大きな経営課題となっている小規模事業者への支援が急務となっている現状を踏まえ、これまで単独の信用組合では限界があった事業承継支援について、必要に応じてネットワーク関係機関と連携しながら支援をしていくことといたしました。

これを機会に、3信組が団結し、燕三条の小規模事業者の事業承継問題に正面から取り組み、地域経済の活力の維持を図ってまいります。

連携ネットワーク図
連携ネットワーク図

職員向け研修会の実施

私たちツグ・サポでは、事業承継を手数料ビジネスとしてM&Aに注力している地方銀行とは異なり、支援が行き届いていない小規模零細事業者に対するメインプレーヤーとして、地域からなくしてはならない事業・技術を地域内でマッチングさせ、地域の新たな成長につなげていくことを主眼に活動を開始しました。

先ずは3組合それぞれの事業承継支援の担当者を対象に、3回にわたって事業承継に関する研修会を開催しました。各組合からのべ37名の職員が参加し、第1回、第2回は長岡大学准教授の栗井英大先生(中小企業診断士・事業承継アドバイザー)を講師にお迎えして、中小企業の事業承継・M&Aに対する関わり方について体系的に学習しました。第3回は税理士法人小川会計の結城宏之税理士を講師に、主に事業承継を行う際の税制や法律面での知識を学びました。お客さまからの事業承継に対するご相談に的確に対応できるよう、各組合共に職員のスキルアップを図っております。

事業承継に関するアンケートの実施

私たちツグ・サポでは、燕三条地区の中小・小規模事業者の皆様が事業承継について実際にはどのようにお考えになっているかを把握するために、昨年9月から12月にかけて事業承継に関しての面談によるアンケート調査を実施しました。3組合で2,822先の事業者の皆様からご回答をいただきました。ご回答をいただいたうちの62%が個人事業主の方で、経営者の年齢では「60歳超」が60%、後継者の決定状況では「決まっていない」が61%、将来の事業展望で「廃業予定」とした先は528先で全体の19%、廃業予定先での廃業理由の56%が「後継者がいない」という結果となりました。将来の事業展望で「継続・廃業を未だ決めていない」と回答した先が1,024先(36%)あることを勘案すると、将来廃業を選択する事業所が3~4割程度見込まれることを共通認識と致しました。燕三条地域においても経営者の高齢化や後継者不足が大きな経営課題になっていることが明らかとなりました(調査結果については「アンケート結果」をご参照ください)。

アンケート結果

事業承継セミナーの開催

アンケート調査の結果、セミナー開催のニーズが多かったことから、ツグ・サポでは平成29年6月に当組合大会議室を会場に初の「事業承継セミナー」を開催しました。新潟県事業引継ぎ支援センター統括責任者の畠山満氏を講師にお迎えし、事業承継について(1)ヒトの承継(2)資産の承継(3)目に見えにくい経営資源の承継といった3つのポイントや具体例をあげて分かりやすく解説して頂きました。特に「ヒト」・「モノ」に加えて、技術やノウハウ、人脈、顧客情報などといったバランスシートには表れない「目に見えにくい経営資源」の承継が重要であり、それらをできるだけ「見える化」することが大切だとのお話が印象的でした。燕三条地域の企業の経営者の方を中心に53名が受講し、参加者は皆様熱心に聴講されていました。ツグ・サポでは今後もセミナーの開催を予定しており、燕三条地区の企業の皆様から事業承継について少しでもご理解を深めていただけるよう取り組んで参ります。

M&A案件第一号の成立

アンケートの調査結果に基づき廃業予定の先で緊急性の度合いの高いお取引先をピックアップし、マッチング活動を展開してまいりましたが、この度ツグ・サポとして第一号となるM&A案件を仲介・成立させることが出来ました。

譲渡企業である有限会社阿部製作所(燕市)は、精密絞り加工や冷間プレス加工の会社で、後継者がいないことが事業継続の課題となっていた先です。譲受企業である株式会社アベキン(燕市)は、店舗什器やディスプレイなどのプレス加工を得意とするメーカーで、社長は事業の拡大意欲旺盛な若手経営者です。平成29年6月21日のM&A調印式において、買収の決め手となった事について株式会社アベキンの阿部社長は、『どうしてもあの技術は燕に残さなければならないと、工場を見させていただいた瞬間にそう思い決断しました』とコメントされた点が印象的でしたし、有限会社阿部製作所の阿部社長も『時間は少し掛かったものの、燕の企業に事業を引き継いで貰うことが出来て本当によかった』との感想を述べられ、双方の経営者の思いが一致した所でM&Aが成立したことを嬉しく思うと共に、新潟県事業引継支援センターをはじめ関係各位に感謝申し上げたいと思います。

事業承継問題は、時間的な制約の有無、雇用の維持確保、技術の伝承など様々な観点から検討を進めていく必要があり、大変時間を要する課題ではありますが、「何もかかわることが出来なければ、お取引先をどんどん失っていく」ことは間違いない真実であり、ツグ・サポの活動を更に活性化させ、3組合で経験値を積み共有していく事で、地域の新たな成長につなげて行きたいと考えております。


(M&A調印式:左から(株)アベキン阿部社長、協栄信用組合池内理事長、(有)阿部製作所阿部社長)

事業継承についてのお問い合わせ

事業継承についてのお問い合わせは下記までご連絡をお願いします。

TEL:0256-61-1505 FAX:0256-61-1517
協栄信用組合 融資部